今日、過ごしたい場所で

それから、私は一ヶ月に一度だけ黒板アートを描きに行った。クラスメイトは律儀にそのたびにお礼を送ってくれた。

いつの間にか、カレンダーは6月を示していた。

「深冬、ちょっと良いかしら?」

ある日、お母さんにリビングに呼ばれた。

「あのね、日下部先生が、そろそろ出席日数が厳しいって……」

「そっか」

「ねぇ、深冬。深冬にとって高校の卒業する意味は、何?」

「学歴……だった。だから、もう私には要らないって……」

「そう、じゃあ卒業しなくていいわ。でも、学籍だけ3月まで置いておきましょう?」

「え?」

「黒板アート描きに行くんでしょう?」

「いいの?」

「もちろん」

お母さんが、ふふっと嬉しそうに笑った。