お兄ちゃんの、いる場所。



五年生になって、
わたしはお母さんにずっと言いたかったことを打ち明けました。
​

「わたし、れんお兄ちゃんがいっていた中学校にいきたい。受けんさせてほしいの」


​夕飯のあとのリビングで、
お母さんはいっしゅん、
おどろいたように目を丸くして、
それからやさしくほほえみました。
​

「……そう。れんくんと同じところへいきたいのね。いいわよ。がんばってみなさい」


​お母さんはそう言って、
わたしの頭をなでてくれました。

でも、ひとみが少しだけうるんでいるのを、
わたしはみのがしませんでした。
​

きっと、
お母さんもれんお兄ちゃんのことを
思い出していたんだと思います。