お兄ちゃんの、いる場所。



​四年生になりました。
この夏、わたしは初めて
「おはか」に行きました。

​お父さんとお母さんといっしょに、

坂道をのぼった先にある、
石がたくさんならんでいる場所。


そこにある一つの石に、れんおにーちゃんの名字が書かれていました。


お水をかけて、
手をあわせて。


お母さんが
「れんくん、また来たよ」
って言ったとき、

わたしはうすうす、気づいてしまいました。
​ああ、れんおにーちゃんは、もう帰ってこないんだ。


お母さんが言っていた
「何年かしたらまた会える」
っていうのは、今すぐのことじゃないんだ。


あのおそう式の日の、
白い箱のなかの冷たさを思い出しました。


おにいちゃん、ごめんね。


ずっと、明日になれば、
ひょっこり帰ってくると思ってた。


でも、おにいちゃんはここに、
この石のなかに、しずかにねむっているんだね。


悲しくて、
足もとのすなをずっと見ていました。



もう
「明日、遊ぼう」
とは言わないけれど。


わたし、
お兄ちゃんがいたこの世界を、
もっとちゃんと歩いてみるね。