お兄ちゃんの、いる場所。



二十歳を前にしたある日、
私はおばさんから本当のことを聞いた。


にーちゃんは、バイクにひかれたんだって。
​今まで、なんとなく怖くて聞けなかった。


私はずっと、過去を引きずりすぎなのかもしれない。


周りのみんなが新しい恋をして、
前を向いて歩いている中で、

私だけが十四歳のにーちゃんの背中を追いかけ続けている。


​……でも、忘れなくてもいいよね。


​誰になんと言われても、
にーちゃんは私の人生で一番最初に、
優しさと温かさを教えてくれた人。


四歳のあの日に始まった、
切なくて、キラキラした気持ち。


​それは、私にとって大切で、
きっと最初で最後の、たった一つの初恋なんだから。


​忘れられないのは、それだけ心の深い場所に
にーちゃんがいるから。


無理に消そうとしなくていい。
にーちゃんへの想いを抱えたまま、
私は二十歳の扉を開ける。


​この恋は、一生、私だけの宝物。