お兄ちゃんの、いる場所。



中学二年生になりました。
心も体も、自分でも驚くほど大人に近づいています。


ある日の放課後、私はふと思い立って、
幼いころに蓮お兄ちゃんとよく遊びにいった公園へ向かいました。


お兄ちゃんに手を引かれて歩いた、あの懐かしい場所です。


久しぶりに訪れたその公園は、
私の記憶の中にあるよりもずっと小さく見えました。


あんなに高かったジャングルジムも、
どこまでも続いている気がした砂場も、


今の私から見れば、なんてことのない公園の景色です。


​「……こんなにせまかったっけ」


公園までの道のりも同じでした。

四歳のころの私は、
お兄ちゃんの服の裾を必死に掴んで、
一生懸命に足を動かしていました。

あの頃は、
公園に着くまでにすごく時間がかかって、

まるで冒険に出かけるような気持ちだったのに。



私の歩幅が、あの頃よりずっと大きくなっただけ。

​あの日、
お兄ちゃんは私の隣で、どんなふうに歩いていたんだろう。


バスケ部で体格のよかったお兄ちゃんなら、
本当はもっと早く歩けたはずです。


私を置いて、さっさと公園まで駆け出すこともできたはずです。


​でも、
私の記憶の中のお兄ちゃんは、
いつだって私のすぐ隣にいました。


前を行く背中ではなく、
いつも横に並んで、
私のたどたどしい歩みに合わせてくれていた
温かな気配。