おはなが、いっぱいいっぱい、ありました。
おへやのなかが、
しろいおはなで いっぱいになっていて、
なんだか いいにおいがする。
でも、みんな、ないています。
おかあさんも、
おとうさんも、
れんおにいちゃんのおうちのおばちゃんも。
みんな、
おめめをまっかにして、
はんかちを、ぎゅっとしています。
「どうして、ないてるの?」
わたしは、ふしぎでたまりませんでした。
だって、
まえにある
おおきな
しろいはこのなかに、
れんおにいちゃんがいたからです。
おにいちゃん、ねんねしています。
いつもみたいに、ちょっとだけおくちをあけて、
とっても、きもちよさそうに。
わたしは、
はこにちかづいて、せのびをしました。
れんおにいちゃんのほっぺたを、
ゆびでつんつん、してみました。
いつもなら
「こら、くすぐったいよ」
ってわらってくれるのに、
おにいちゃんは、ちっとも うごきません。
ほっぺたは、こおりみたいに、つめたい。
「ねえ、れんおにいちゃん。おきて」
わたしがきいても、おにいちゃんは おきてくれません。
おかあさんが、
わたしのかたをだきしめました。
おかあさんのふくから、
なみだのにおいがしました。
「れんくんはね、てんしさんに なったの。もう、ここには もどってこないのよ」
おかあさんの こえは、ふるえていました。
わたしは「てんしさん?」ってくびをかしげました。
おはなをいっぱいもって、
そらを とぶ、
あのきらきらした人たちのことかな。
だったら、おにいちゃん、とっても かっこいいな。
でも、あそんでくれないのは、
ちょっとだけ、つまんない。
しろいはこの ふたが しまるとき、わたしは てをふりました。
「おにいちゃん、ばいばい! またあした、あそんでね!」
わたしの こえだけが、しずかな おへやの なかに ひびきました。
みんなが
もっとないちゃったのは、
どうしてだったんだろう。
おにいちゃんは、
あしたになったら、
ひょっこり「おまたせ」って いって かえってくる。
わたしは、ほんきでそうおもっていた。
だって、おにいちゃんはやさしいもん。
わたしのことを、おいていくはずがないもん。
ねえ、おにいちゃん。
またあした、いつもの こうえんでまってるね。
やくそくだよ。



