幼馴染への三度目の失恋を回避したい ――激重な片思いを隠さなくなってきた彼に、心臓がもたなくなってきた彼女。【完結】

 ◇

 クラスのみんなと大勢で来た時とは全然違う、変にそわそわした気持ちで受付を済ませる。

「わー! 楽しみー!」
 案内された部屋の前に着き、ルンルンしながらドアを開けるめぐみ。

「…………」
 中を覗き込んだ僕は、能天気な彼女とは対照的に、内心激しく焦っていた。

(やっぱり……このくらい暗いよな)

 めぐみは早速ソファに鞄を置き、タブレットを手に取って「ねえねえ、最初なっちゃん歌う? 私歌う?」と楽しそうにしている。
 僕はすっかり心ここにあらずで、「あー……めぐでいいよ」と返事をした。

 こんな薄暗くて狭い密室で、二人きり。

 ……こいつは、自分の置かれている状況をわかっているんだろうか。

「じゃあ、最初はこれにしよ〜」
 タブレットを操作して、めぐみが最初に入れた曲は、日曜の朝にやっているほんわかしたアニメの主題歌だった。
 イントロが流れ出し、マイクを握って左右に揺れている彼女を見る。

『彼女』という特別な存在になったにもかかわらず、相変わらずのんきで無防備なめぐみを、僕はソファの端で複雑な気持ちで見つめていた。