幼馴染への三度目の失恋を回避したい ――激重な片思いを隠さなくなってきた彼に、心臓がもたなくなってきた彼女。【完結】

 文化祭二日目。
 今日もはっぴを着て、頭にねじりハチマキを巻き、僕はヨーヨー屋台のシフトに入っていた。

「……ヨーヨーやってます〜いかがですか〜」

 無難に愛想よく勧誘をこなしていたつもりが、近くで水風船を作っていた葉山が不思議そうに覗き込んできた。

「ん? なんか眉間に、シワ寄ってるぞ?」

「……え」

 慌てて指で揉みほぐした。

 無意識だった。
 けれど、僕の心の中には明確な不満と不安が渦巻いていた。

 今朝から、めぐみと一度も会話ができていない。
 それどころか、目が合うことすら一度もない。
 話しかけようと近づくと、まるでセンサーでもついているかのように素早く察知して、距離をとられてしまう。

(一体、なんなんだ……)

 照れているのか? 恥ずかしいのか?
 昨日、あのまま真っ赤になってトイレに逃げ込んだのだから、きっとそうに違いないと最初は思っていた。
 けれど、こうも徹底的に避けられ続けると、昨晩ひとりで散々浮かれすぎた分、急速に嫌な予感がしてくる。
 話して確かめられないと、また一人で勘違いしてるだけなのではと不安になるのだ。

 過去二度の『勘違い、浮かれ、からの失恋トラウマ』が蘇り、胃のあたりがキリキリと痛む。
 三度目の失恋なんて――絶対にしたくないんだ。

 おまけに、昨晩は興奮と歓喜でまったく眠れなかったため、絶望的に眠い。

 ただ救いだったのは、うちのクラスのヨーヨーすくいはシンプルだが手作りの装飾の雰囲気が良く、お客さんのウケも上々で、接客も気楽だったことだ。