幼馴染への三度目の失恋を回避したい 〜激重な片思いを隠さなくなってきた彼に、心臓がもたなくなってきた彼女。〜【完結】

 ――数分後。
「……わり、ちょっとごめん」

 なんとか押し寄せる感想の波を抜け出し、嶋の背中を見つけて駆け寄った。
 だが……そこに、めぐみの姿はいない。

「……嶋! さっき、めぐといなかった?」
 周囲を見回しながら聞くと、嶋は「ん?」と振り返った。

「井原? ああ。ちょっと喋ったあと、すぐに帰ったよ!」
「…………」

「『お疲れ! 感動したよ!』だってさ」
「…………」


 …………はあああああ!?


 僕は心の中で、今日一番の、いや、史上最大レベルの激しいツッコミを入れた。

 ……おい。
 あれだけ、お前への想いを込めて切なく歌い上げたんだぞ!?
 俺にとっては、あれはもうほぼ告白みたいなものだ。
 せめて……せめて直接、俺の顔を見て直接コメントしろ!!

「……あれっ、朝井?」

 嶋が止める声や、また別の誰かが話しかけてくる声も完全にスルーして。

 僕は踵を返し、人混みを縫うようにして、めぐみを追って教室へと全力で走り出した。