いよいよ自分たちの出番が目前に迫り、僕は一つ前のバンドの演奏を舞台袖から聴いていた。
文化祭における軽音部のライブイベントはやはり相当な人気コンテンツらしい。
袖の暗がりの隙間からステージの下をこっそり覗き込むと、いろんな学年のたくさんの観客が、ステージの周りをびっしりと囲んでいるのが見えた。
「……やばっ! 俺、緊張してきたかも……」
ベースを担当する男子が、小さな声で呟く。
「……俺も」
僕も思わず、本音を漏らしてしまった。
今まで経験してきたバスケの試合などとは、まったく種類の違う緊張感だ。
こんなにたくさんの人間が、自分たちの出す「音」を聴き入るために集まっている。
ましてや、僕はステージ上で歌うなんて初めての体験だ。
実際にあの光の当たる場所に立つまで、自分がどうなるのか想像もつかない。
ふと後ろを振り返ると、由利さんは一人、平然としていた。
鍵盤の位置を確認するような素振りすらなく、暗譜しているらしく手元に楽譜も持っていない。
「……由利さんは余裕そうだな」
僕が声をかけると、彼女は静かにこちらを見て、「慣れてるから」と短く返す。
その落ち着きぶりに少しだけ救われた気持ちになった。
僕はもう一度、ステージの下の観客席へと目を凝らした。
(――……いた)
めぐみだ。
薄暗い体育館の中、昨日僕がお願いした通り、ステージの正面の真ん中のほうに立ってくれている。
白い半袖のワイシャツに、薄ピンクのリボン。
いつもの制服姿が、照明の光を反射して目立っていた。
(……緊張するけど、すげえ嬉しい)
胸の奥が熱くなった。
文化祭における軽音部のライブイベントはやはり相当な人気コンテンツらしい。
袖の暗がりの隙間からステージの下をこっそり覗き込むと、いろんな学年のたくさんの観客が、ステージの周りをびっしりと囲んでいるのが見えた。
「……やばっ! 俺、緊張してきたかも……」
ベースを担当する男子が、小さな声で呟く。
「……俺も」
僕も思わず、本音を漏らしてしまった。
今まで経験してきたバスケの試合などとは、まったく種類の違う緊張感だ。
こんなにたくさんの人間が、自分たちの出す「音」を聴き入るために集まっている。
ましてや、僕はステージ上で歌うなんて初めての体験だ。
実際にあの光の当たる場所に立つまで、自分がどうなるのか想像もつかない。
ふと後ろを振り返ると、由利さんは一人、平然としていた。
鍵盤の位置を確認するような素振りすらなく、暗譜しているらしく手元に楽譜も持っていない。
「……由利さんは余裕そうだな」
僕が声をかけると、彼女は静かにこちらを見て、「慣れてるから」と短く返す。
その落ち着きぶりに少しだけ救われた気持ちになった。
僕はもう一度、ステージの下の観客席へと目を凝らした。
(――……いた)
めぐみだ。
薄暗い体育館の中、昨日僕がお願いした通り、ステージの正面の真ん中のほうに立ってくれている。
白い半袖のワイシャツに、薄ピンクのリボン。
いつもの制服姿が、照明の光を反射して目立っていた。
(……緊張するけど、すげえ嬉しい)
胸の奥が熱くなった。


