幼馴染への三度目の失恋を回避したい 〜激重な片思いを隠さなくなってきた彼に、心臓がもたなくなってきた彼女。〜【完結】

「三組のお化け屋敷、思ったより凝ってて面白かったね」
「ねー! あっ、このシフト終わったら、先輩の劇観に行かない?」
「おっ、いいねいいね」

 ヨーヨーすくいのレジ役をしながら、葵とこれからの回り方について色々と相談していた時のことだ。
 教室の入り口に、キョロキョロと中を見渡している見慣れた姿が現れた。

「あっ、お母さん!!」
 私が大きく手を振ると、お気に入りのお出かけ用ワンピースを着たお母さんがパッと顔を輝かせて近づいてきた。

「あらっ、葵ちゃん?」
 隣にいる葵に気づいたお母さんが声をかける。
 葵とは中学時代から仲が良く、家にも遊びに来たことがあったため、覚えていたようだ。
「ご無沙汰してます」
 葵がペコッと丁寧に頭を下げる。
「葵ちゃん、すごい大人っぽくなったわね〜! 二人とも、お祭りの衣装、すっごく似合ってる!」

 お母さんはニコニコと褒めてくれてから、お金を払ってヨーヨー釣りのプールへと向かっていった。

「めぐとお母さん、そっくりだよね」
 葵がその背中を見ながらポツリと言った。
「えっ、ほんとー? どちらかというと、お父さんに似てるって言われることが多いんだけどな」
「見た目っていうか、雰囲気かな。お母さんもふわふわしてて、一緒にいたら眠くなりそう」
「えっ、葵、私といるといつも眠くなってるの!?」
 私が目を丸くして聞くと、葵は「うん」と笑った。

 しばらくして、お母さんは私たちが必死で紙紐を通した釣り針を見事に使いこなし、水風船のヨーヨーを一つ釣り上げて笑顔を見せてくれた。