幼馴染への三度目の失恋を回避したい ――激重な片思いを隠さなくなってきた彼に、心臓がもたなくなってきた彼女。【完結】

 試験からの解放感に浸る間もなく、六月下旬の文化祭に向けた準備がスタートした。

 ホームルームの時間。
 教壇に立つ文化祭委員が声を張り上げて仕切る中、クラスの出し物を決める話し合いが進められている。
 教室の空気は、非日常のイベントに対する期待で、どこか落ち着きなくざわざわとしていた。

 僕は頬杖をつきながら、斜め前方をぼんやりと眺めていた。
 視線の先には、先日の席替えで席が離れためぐみがいる。

 前回は、真後ろに彼女の気配を常に感じてしまい、心臓に悪くて落ち着かなかった。
 だから、こうして堂々とめぐみの背中や横顔を眺められるポジションに変わったのは、悪くない。

 ……悪くないのだけど。

 前後左右の連中(当然そこには男子もいる)と、楽しそうに談笑する姿を見るのは、控えめに言って全然面白くない。

 僕がため息をつくと同時に、黒板の前に立っていた委員がパンパンと手を叩いた。

「よし、じゃあ多数決の結果、うちのクラスは『ヨーヨーすくい』に決定でーす!」

 その宣言に、密かに安堵した。
 食べ物を扱う模擬店や、教室全体を大掛かりに飾り付けるお化け屋敷などは花形で人気だが、その分、買い出しや準備の負担は大きい。
 ライトな出し物で決着がついて、助かった。

 なぜなら僕には、『同じクラスになっためぐみと、文化祭で距離を縮める』ことはもちろん、それとは別に、絶対に失敗できない大事な『裏ミッション』が控えているからだ――。