幼馴染への三度目の失恋を回避したい ――激重な片思いを隠さなくなってきた彼に、心臓がもたなくなってきた彼女。【完結】

「……あーっ! 惜しいー!!」

 めぐみが「やりたい」と指差したのは、彼女が来る直前まで僕が一人で使っていた、テレビゲームのコントローラーだった。

 オリンピックの様々な競技を二人プレイで体験できるゲーム。
 めぐみはこのゲームが好きで自分の家でも持っているが、兄の光くんがコントローラーを壊してしまい、遊べなくなったと不満そうにしていた。

 僕と組んでコンピュータープレイヤーと戦っているめぐみ。
 敵に点を入れられて本気で悔しがったり、卓球のラケットを思いっきり空振りしては、頬に笑窪を作ってケラケラと笑っている。

 その無防備な様子を見ていると。
 さっきの脳内会議での『これはOKサインだ!』という都合の良い予想は見事に外れ、『あのめぐみのことだ(何も考えていない)』という後者の意見が完全に正しかったことが証明された。

(……ゲームがひと段落したら、どっか出かけるか)

 半ば諦めの境地で、隣で笑うめぐみの横顔を見つめていた。

 次の競技はバスケだった。
 僕が実際にやっている競技ということもあり、変に気合いが入ってしまい、気づけば二人で本気になって熱中していた。

 ものすごい接戦になり、残り数秒。

「めぐ! いけっ」

 僕のパスを受けた画面の中のめぐみがシュートを放ち、見事にブザービーターを決めてコンピューターに勝利した。

「わーっ!! やったあー!!」

 歓声を上げながら、めぐみが僕の腕に勢いよくしがみついてきた。

 あまりの無防備な接触に、僕はハッと我に返って身体を強張らせる。

「……めぐ。ちょっと近いわ」

 掠れた声でそう絞り出すと、めぐみもハッとしたように一瞬だけ腕の力を弱めた。

 しかし、そのまま離れるかと思った次の瞬間。
 今度はさっきよりも強く、ギュッと僕の腕に力を込めて抱きついてきた。


(!?!?!?)


 驚いてめぐみの顔を見ると、彼女は真っ赤になって俯きながら、小さな声で呟いた。

「……なんで、ダメなの?」

 僕を見上げたその表情と震える声に、全身の血がカーッと沸騰していくのを感じた。

「…………」

 何も返せず、ただ彼女を見つめる。

(……いいの?)

 うかがうように、そっと顔を近づけ、唇に触れるだけの短いキスをした。

「…………」

 じっと見つめ返してくる潤んだ瞳を見て、これまで必死に耐えていた理性の糸がプツンと音を立てて切れた。

 僕はめぐみの手を強く握って、リビングから彼女を引っ張り出した。