幼馴染への三度目の失恋を回避したい ――激重な片思いを隠さなくなってきた彼に、心臓がもたなくなってきた彼女。【完結】

 ◇

 食事と皿の片付けを終え、上下スウェットという完全に気の抜けた格好のまま、久しぶりに静かなリビングで一人ゲームに熱中していると。

 ——ピンポーン。

 家のチャイムが鳴り響いた。

 モニターをよく見ずにインターホンに出ると、スピーカー越しに愛しい声がして、慌てて玄関へと向かった。

 ガチャリとドアを開ける。

「……なっちゃん!」

 そこには、嬉しそうな笑顔のめぐみが立っていた。

 部活は午前中までだったらしい。
 制服ではなく、薄手のベージュのニットに細身のジーパンという秋らしい私服に着替えていた。

「えっと、なっちゃんママいる? お誕生日だよね」

 めぐみは僕の後ろの廊下をのぞき込むような仕草をする。
 その手には、プレゼントらしき小さな紙袋が握られていた。

「あー。今日、父さんとご飯食べに出かけてて、夜まで帰ってこないよ」

 そう答えると、彼女は「あ……そうなんだ」と少し目を丸くした。

 しんと静まり返った家の中の様子から察したのか、めぐみが少し上目遣いで聞いてくる。

「……じゃあ、なっちゃん一人?」
「……あ、うん」

 なんとなく、二人の間に気まずいような、甘いような、こそばゆい沈黙が流れる。

 めぐみと付き合い始めてから、お互いの家に遊びに行くことがあっても、家の中で二人きりになるシチュエーションはなんとなく避けるように気をつけていた。
 どちらかの家族の誰かがいるときにだけ、一緒にゲームをしたり、音楽を聴いたり、テスト勉強をしたりしていたのだ。

 理由はただ一つ。
 二人きりの密室で僕の理性が保てる自信が、微塵もなかったからだ。

 特にここ最近は、その傾向が強い。
 学校の昼休みに旧校舎の階段でこっそりキスをする逢瀬だけでも、僕の理性のストッパーは毎回ギリギリの悲鳴を上げている。

 めぐみもそんな僕の様子を察しているのか、お互いに空気を読んでいた部分があった。

(……どうする。どこか出かけるか?)

 そう考えたが、せっかく来てくれた彼女をすぐに追い返すのも違う気がして、短く息を吐いた。

「……とりあえず、一回入る?」

 めぐみは小さく頷き、「じゃあ……お邪魔します」と靴を脱いだ。