窓枠を越えなくても、音は届く。

少し軒下から出れば、雨が降っているのに気にもしていないようだった。

「この猫、おっさんみたいだな……」

「にゃ!!!!!」

「ごめん! 意味わかったの!?」

「……にゃ?」

「分かってないんかい!」

寝転がっているさぶのお腹を撫でれば、さぶは嬉しそうにゴロゴロと喉を鳴らしている。

その光景が可愛くて、ついまた話しかけてしまう。

「ねぇ、明日も来る?」

「……」

「来てよ。この部室、一人だと寂しいの。琴も一人で弾いていると、先輩たちがいた頃を思い出しちゃうし」

「……」

「琴大好きなのになぁ」

「にゃ」

「ん? 何?」

急にさぶが立ち上がり、私の右横に置いてある琴を窓越しにペシペシと前足で指している。