窓枠を越えなくても、音は届く。

「とりあえず、その『さぶ』におやつをあげて来たら?」

「あげてくるけど……葉乃も来る?」

「私はこの後、家族とお出かけだから。さっきもその連絡を返していたの」

「え、ごめん。長話しちゃった」

「全然、今から行けば余裕で間に合うし。ていうか、今度また『さぶ』の話を聞かせてね」

そう言いながら、葉乃は横に置いてあったバッグを肩にかけて席を立つ。

「美花、最近部室で一人で寂しそうだったから楽しそうで安心したわ。また琴も聴かせて」

「うん、ありがと!」

葉乃を見送った後に、私はそのままおやつを手に部室に戻る。

さぶはさっきと同じ軒下で丸まったままだった。

「中に入らなくても寒くないの?」

「にゃ!」

「名前を呼んだんじゃないよ!?」

「……にゃぁぁぁ」

「ちょっと寂しそうにしないで!?」