窓枠を越えなくても、音は届く。

メモ用紙は折り畳まれもせず、猫の向かい側から見ればそのまま読めてしまう。大人びた綺麗な字がボールペンで書かれていた。

「私の夕ご飯はどこですか?……って、何これ」

猫が自分で字を書けるはずなどない。

だからこのメモは人間の誰かが描いて、この猫の首にかけたのだ。

この大学の人間が食事をする場所なんて、基本的に食堂しか指さないだろう。

本当はこんな出来事は怖いから無視してしまいたい。

でも、そうすれば……

「にゃぁ〜」

何もこの事態に気づかずに顔を手で擦りながら、呑気に鳴き声をあげている猫。