窓枠を越えなくても、音は届く。

きっと軽口ようなツッコミのような言葉が飛んでくると思っていた。

しかし、実際は全然違っていた。

「言い忘れたが、琴の音だけが響く部室も(おもむき)があると思うぞ」

「え?」

「また3、4年もすぐに顔を出しに来るよ」

「はい……!」

反射的にそう反応していた。

きっとバレていたのだと思う。
 
今まで尺八(しゃくはち)や三味線の音も溢れている部室だった。

確かにたまに先輩たちが顔を出してくれるけれど、寂しくないと言えば嘘になる。