【不定期更新】甘すぎる溺愛は、美しい花の隣で。

動揺してしまった私は、そのまま「ちょっとお手洗いで見てくるね」と言って席を立った。

なんで、あんな動けなかったのかも分からない。

それでも、空雅くんの手が伸びてきて、私が少し意識してしまったのだけは事実だろう。

この状況に惑わされたのかは分からない。

それでも、実際は頬にまつ毛がついていても、触れないような距離感。

ただの店主と従業員なのだから当たり前なのに……何で、こんなに固まってしまったんだろう。

手洗い場の鏡に映った自分の頬は、上の方だけ赤く染まっていて、それすらどこか恥ずかしい。

(早く治ってよ……)

そう自分の心に言い聞かせて、私は濡らしたハンカチを頬に当てた。