「おはよう。早いね」
「緊張して、全然眠れなくて……先輩は?」
「私も同じ」
正直に言うと、芽依ちゃんは少しだけ安心したような顔をした。
その後、他の部員たちも続々と集まってきた。
「陽葵! 今日はよろしくね!」
親友の咲季が、ボブヘアを揺らしながら入ってきた。
「うん、こちらこそ。……咲季、緊張してる?」
「もう、心臓が口から飛び出しそう!」
咲季が笑う。その明るい声に、私の肩の力もちょっとだけ抜けた。
◇
私は最初の一人、王子様役の男子部員に向き合った。
普段はよく笑う、お調子者の彼だけど、今日の彼には王子の凛々しさが必要だった。
「じっとしててね。……少しだけ、魔法をかけるから」
眉の形をキリッと整え、シャドウを使って鼻のわきに薄い影を入れる。
「どうぞ、鏡を見て」
「……うわ、すげー! 鼻が高くなって、顔がシュッとして見える。 これなら王子様って胸を張れるよ!」
その後は、みんなの顔を順番に仕上げていく。



