偽りのお嬢様〜不器用な御曹司は、素顔の私を離さない〜


「私がしたことの責任は、私がとる。結城さんを巻き込んだのは私だし、ちゃんと説明してくる」

「そんなことしなくていいよ。これは、私の問題で……」

「いいんじゃなくて、したいの」

真白さんは私の言葉を遮って、はっきり言った。

「結城さんは私のために、ずっと頑張ってくれた。だから、今度は私の番でしょ?」

飾らない、本気の声だった。

「……ありがとう、真白さん」

「任せて」と言って、真白さんはほうじ茶ラテを私に差し出した。温かかった。カップの温度も、その言葉も。



それから一週間、演劇部の準備は慌ただしく続いた。

衣装の仕上げ、小道具の最終確認、通し練習の繰り返し。

部室には常に誰かの声が飛び交い、放課後のたびに慌ただしさが増していった。

私はその中で、メイクの準備を進めながら、舞台を見ていた。

美紅先輩がシンデレラ役で立つ姿は、やっぱりすごかった。

「私だって、行きたい。あの舞踏会に……誰よりも、行きたいの」

よく通る声、迷いのない動き。舞台に立った瞬間、場の空気を変えてしまう。

「やっぱり、美紅先輩はすごいな……」

隣の芽依ちゃんが、羨望の眼差しで小さく呟いた。私も、静かに頷いた。

私は裏方。それでいい。……それでいい、はずなのに。なぜか今日はその言葉が、いつもより少しだけ空洞に響いた。

そしてこの一週間、私は気になっていることがあった。