「大丈夫だよ、芽依ちゃん」
笑って見せた。芽依ちゃんはしばらく私を見つめてから、ゆっくり近づいてきた。
「……無理してませんか?」
答えられなかった。「大丈夫」と言おうとして、言葉が出てこなかった。
芽依ちゃんは、そっと私の手の上に自分の手を重ねた。何も言わない。ただ、そこにいるだけ。
「先輩がいてくれたから、わたし、声が出るようになったんです。だから……今度はわたしが、そばにいます」
小さいけれど、しっかり届いた言葉だった。
◇
その日の夕方。片付けをしていると、部室のドアが開いた。
「結城さん、ちょっといい?」
真白さんだった。手には、カフェのテイクアウトのカップが二つ。
「……これ、もしかして」
「ほうじ茶ラテ。あなたが好きだって、咲季ちゃんから聞いたの」
真白さんはにっと笑って、私の隣に腰を下ろした。
「結城さん、この間は本当にごめんなさい」
「気にしないで。私が引き受けたんだから」
笑ってみせようとしたが、真白さんは首を横に振った。
「……笑えてないわよ、結城さん」
私は黙りこんだ。
「やっぱり私、西園寺くんに話をしに行くわ」
「え……!?」



