偽りのお嬢様〜不器用な御曹司は、素顔の私を離さない〜


遊園地での出来事から、数日が過ぎた。

校庭の木々は、あの日よりも少しだけ色を変えていた。

緑の中に、橙色や黄色がまじり始めている。秋は、気づかないうちにどんどん深まっていく。

教室の窓から、その景色をぼんやり眺めながら、私はシャーペンを走らせていた。

先生の声が聞こえ、黒板には数式が並んでいる。だけど、頭には何も入ってこない。

気づいたときには、ノートの端に線を引いていた。すっきりとした横顔、整った目鼻立ち。

……景斗さんだ。

私は慌てて消しゴムをかけた。力を入れすぎて、ノートが少し破れた。

消えきらない鉛筆のあとを見つめながら、私はそっとノートを閉じた。

もう会えないかもしれない。私、最低なことをしちゃった。