偽りのお嬢様〜不器用な御曹司は、素顔の私を離さない〜


「俺、コース全部、完璧に覚えてますよ」

「え、前にも来たことあるんですか?」

「一人で何回か。次はここで落ちる、次は右にカーブって全部わかってて。それでも毎回、身体は正直に反応するんですよね」

そう言って、景斗さんは自分の胸のあたりに手を置いた。

「頭では分かっていても、身体はごまかせない。そういうことって、ありますよね」

その言葉の意味が、なんとなくわかった気がした。でも、確かめる勇気はなかった。

景斗さんの目が、一瞬だけこちらに向いた。

「如月さん、また乗りますか?」

「……はい、乗りたいです」

「じゃあ、また来ましょう……二人で」

当たり前のようにそう言って、景斗さんは歩き出した。

「また」という一言が、静かに頭の中に落ちた。


ジェットコースターの出口を出たところで、景斗さんが「少し休みますか」と言った。

近くのベンチに腰を下ろすと、目の前に綿菓子の屋台があった。

「如月さん、食べますか?」

「……いいんですか?」

「はい。俺も食べたいので」