「大丈夫?」
すぐそばで声がした。心臓がまだドクドクしているのに、その声を聞いた瞬間、なぜか落ち着いた。
おそるおそる、顔を上げると――お化け屋敷の薄暗い青色のライトに照らされた横顔は、息をのむほどきれいだった。
だけど今日は、きれいだ、とだけ思わなかった。
肉まんの話をしたとき、唇の端だけ持ち上げた顔。カフェで「言葉にできないものを線にする」と、言ったときの目。
それら全部が、ライトに照らされたこの顔に重なった。
「す、すみません……っ」
私は慌てて腕を離した。頬が燃えるみたいに熱い。
「俺も、ちょっとびっくりしましたよ」
わずかに微笑む彼。その笑顔は、初めて会ったときとは全然違って見えた。
出口の光が見えてきた頃、景斗さんがふと足を止めて振り返った。
「お化けが怖いなら……また掴みますか?」
そう言って、腕を差し出す彼。



