お化け屋敷の入り口は、冷たい空気が足元から這い上がってくるようだった。
天井から吊るされた薄暗い青色のライトが、景斗さんの横顔を鋭く、どこか幻想的に照らし出している。
「……行きますか」
景斗さんの言葉に頷き、私は一歩踏み出した。
闇の中を進むにつれて視覚が奪われ、代わりに隣を歩く彼の気配が、痛いくらいに鮮明になっていく。
ほのかに漂う、さわやかな石鹸のような匂い。服が擦れる小さな音。
落ち着かなきゃ。今の私は、如月真白なんだから。
そう自分に言い聞かせた、そのときだった。
「きゃあ!」
気づいたときには、もう遅かった。
暗闇の中で突然現れたお化けに、思わず隣に立っていた景斗さんの腕を、両手でぎゅっと掴んでいた。



