偽りのお嬢様〜不器用な御曹司は、素顔の私を離さない〜


遊園地の入り口に着くと、景斗さんはすでに待っていた。

シンプルな白のTシャツに、薄いグレーのジャケット。カフェのときと同じように、オフの顔だ。

その顔を見た瞬間、胸のあたりがざわりと動いた。

早足になっていた理由が、今ならわかる。でも、その言葉を頭の中で形にするのが、なぜか怖かった。

「如月さん、今日はよろしくお願いします」

「こちらこそ、よろしくお願いしますわ」

そう言いながら微笑むと、景斗さんが優しく笑い返してくれた。



遊園地の中は、休日だからか人でいっぱいだった。

家族連れ、カップル、友達同士──みんな楽しそうに笑っている。

「どれから乗りますか?」

景斗さんに聞かれ、私は園内の地図を広げた。

「まずは、お化け屋敷に行きませんか?」

「意外ですね。如月さんがお化け屋敷だなんて」

「怖いの、嫌いじゃないんです。入る前の緊張感が……なんか、好きで」

「俺もです。あの、始まる前の空気が」

「ほんとですか!?」

思いがけず趣味が合って、私たちはまた同時に笑った。

「それじゃあ、行きましょうか」