偽りのお嬢様〜不器用な御曹司は、素顔の私を離さない〜


確認すると、差出人は「@hopeful_girl_12」

見たことのないアカウントだ。

おそるおそる開くと、長いメッセージが入っていた。

『@makeup_magic_Hさん、初めまして。

私は、中学2年生です。

私には、ずっと仲の良かった友達がいました。だけど去年、その子が転校してしまって。それからずっと、学校に居場所がない気がしていました。

毎日、教室の隅で一人でいて。誰とも話せなくて。そんなとき、あなたの動画を見つけました。

最初はただ見ていただけだったんですけど、「自分も変われるかも」と思って、メイクに挑戦してみたんです。

うまくできなくて、何度も失敗して。でも動画を繰り返し見て、少しずつできるようになって。

そうしたら、「メイク上手だね」って声をかけてくれた子がいて。それから、少しずつ話せるようになりました。

今は、また友達ができました。あなたの動画がなかったら、きっと今でも教室の隅にいたと思います。

本当にありがとうございます!』

私は、スマホを持ったまま動けなかった。

画面の文字を、もう一度、ゆっくり読んだ。

教室の隅で一人でいた。誰とも話せなかった。

その言葉が、痛いくらい自分に重なった。

転校するたびに壁を作っていた頃の、あの感覚。友達になりかけた頃にまた引っ越す、あの繰り返し。

この子は私じゃないけど、似ている。

何度も失敗しながら練習して、それでも諦めなかった。その一歩が、誰かとの出会いにつながった。

……私のメイクが、誰かに届いたんだ。

鼻の奥がツンとなった。