偽りのお嬢様〜不器用な御曹司は、素顔の私を離さない〜


「顔出しの投稿、俺がコメントしたの、気づいてた?」

それは、もちろん……。

「はい、気づいてました。でも、なんて返事すればいいかわからなくて」

景斗くんが、口元をわずかにゆるめた。

「やっぱり」

「私の動画……ずっと見てたんですか?」

「チャンネル登録してた。君の声を聞いたとき、どこかで聞いたことがあると思って。台本のメモを読んだあの夜に、確信した」

そうだったんだ。

「それじゃあ、全部見たんですか? 失敗してるときも、緊張してるときも……」

「全部」

「……やだ、恥ずかしい」

「恥ずかしくないよ。真剣だから、見ていられた」

窓の外で、風が枯れ枝を揺らした。冬の光が、テーブルの上に柔らかく落ちていた。



カフェを出ると、空気が冷たかった。吐く息が白く、すぐに溶けていく。

「景斗くん、もう一ヶ所だけ、いいですか」

「もちろん」