「顔出しの投稿、俺がコメントしたの、気づいてた?」
それは、もちろん……。
「はい、気づいてました。でも、なんて返事すればいいかわからなくて」
景斗くんが、口元をわずかにゆるめた。
「やっぱり」
「私の動画……ずっと見てたんですか?」
「チャンネル登録してた。君の声を聞いたとき、どこかで聞いたことがあると思って。台本のメモを読んだあの夜に、確信した」
そうだったんだ。
「それじゃあ、全部見たんですか? 失敗してるときも、緊張してるときも……」
「全部」
「……やだ、恥ずかしい」
「恥ずかしくないよ。真剣だから、見ていられた」
窓の外で、風が枯れ枝を揺らした。冬の光が、テーブルの上に柔らかく落ちていた。
◇
カフェを出ると、空気が冷たかった。吐く息が白く、すぐに溶けていく。
「景斗くん、もう一ヶ所だけ、いいですか」
「もちろん」



