偽りのお嬢様〜不器用な御曹司は、素顔の私を離さない〜


「……今日の顔、いいな」

「え?」

「なんか、ようやく会えた感じがする」

思わず視線を落とした。耳の奥が、熱くなった。

「……改めて」

景斗くんが、落ち着いた声で言った。

「今度こそ、最初からやり直したいから。西園寺景斗です」

文化祭の日に言っていたことを、景斗くんは今日ここで果たしてくれた。

喉のあたりがきゅっとなった。こんなふうに、もう一度始められるなんて。

「……結城陽葵です。こちらこそ、よろしくお願いします」

二人で、声を合わせて笑った。

窓際のこの席は、最初に来たときと一緒だった。同じ窓、同じ光、同じにおい。だけど今日の私は、あの日とは違う。

「私、パンケーキにします」

「俺も」

「ふふ、また同じだ」

私が言うと、景斗くんが口角を上げた。

注文を終えて、彼がこちらを見た。

「君が『型破りなお嬢様』を演じていたときは、面白かったよ」

「……面白かった、ですか?」

「うん。見たことのない如月さんが出てきて、何者だろうと思って。だから、遊園地にも誘ったんだ」

「それは……つまり、最初から怪しんでいたということですよね?」