偽りのお嬢様〜不器用な御曹司は、素顔の私を離さない〜


私の頬が火照った。

その瞬間、何かが繋がった気がした。

景斗くんはスケッチブックを通して私を見て、私はブラシを通して彼を見た。

使う道具も、やり方も、全然違う。でも、根っこにあるのは同じことだ。

「絵と、メイクって……似てるんですね」

「そう思う?」

答える前に、景斗くんが続けた。

「さっきの陽葵の目は、描く人の目だった」

描く人の目。その言葉が、静かに体の中に落ちた。

誰かをメイクするとき、私はその人のことしか見えていない。その集中の仕方が、絵を描くときの景斗くんと同じだったのかもしれない。

「……景斗くんにそう言ってもらえて、良かったです」

「なんで?」

「自分がやってることの意味を、ちゃんと言葉にしてもらえた気がして」

景斗くんは何も言わなかったけれど、視線がほぐれたのがわかった。