偽りのお嬢様〜不器用な御曹司は、素顔の私を離さない〜


「信じられないです」

「信じて。俺が見てるんだから」

私はもう一度、絵を見た。景斗さんの目には、自分がこんなふうに見えているんだ。

眼鏡をかけた、ただの地味な中学生だと思っていた。だけど、この絵の中の陽葵は遠くを見ていて、ちゃんとそこにいる。それだけじゃなくて、どこかに向かっていく感じがした。

「……ありがとうございます」

「こちらこそ。今日は、描かせてくれてありがとう」

「あの……私も、お返しがしたいんですけど」

私はポーチを取り出した。

「……え、もしかしてメイク?」

景斗さんが目を丸くした。

「紙に残してもらったから。私も、景斗さんを『見る』お返しがしたくて」

「男でも、いいの?」

「最近は、男性もふつうにメイクしますよ。それとも……嫌ですか?」