坂を上りきったところに、小さな公園があった。
遊具はほとんどない。ベンチが二つと、古びた東屋が一つ。砂場の跡と、錆びた鉄棒。
公園の端に設けられた柵の向こうに、街が広がって見えた。
住宅の屋根が連なって、その向こうに山の形が薄く見える。空は高くて、澄んだ青色だった。
「きれい……」
思わず声が出た。
「でしょう」
景斗さんの声に、誇らしそうなものが混じっていた。
「誰も来ないのが、不思議なくらい」
「見つけにくい場所にあるから。坂を上らないと来られないし、案内板もないし」
景斗さんはカバンを下ろして、ベンチに腰を下ろした。私も隣に座った。
柵の向こうの景色を、二人でしばらく眺めた。
「スケッチブック、見てもいいですか」
景斗さんは少し躊躇してから、「どうぞ」と言った。
カバンから取り出されたスケッチブックは、思ったより分厚かった。
使い込まれた表紙に、少し傷がついている。
こんな場所を知っている景斗さんのことを、もっと知りたかった。どんな日にここに来て、何を考えながら、どんな景色を描いてきたのか。
スケッチブックを開くと、この公園から見た景色のスケッチが次々と出てきた。
ページを覗き込んだとき、景斗さんの肩が触れそうなくらい近くて、心臓がどきりとした。



