文化祭から、一週間が過ぎた。
11月になり、朝の自転車通学で頬に当たる風がひりっとするようになった。
校庭の木々は赤や橙に染まり、風が吹くたびに葉がはらはらと落ちていく。
放課後。咲季と並んで商店街を歩きながら、私はマフラーを引き上げた。
「で? 西園寺くんと、次はいつ会うの?」
咲季が横からぐいっと、顔を寄せてきた。
「……まだわからない」
「え、連絡先は?」
「交換してない」
「ええっ、なんで!?」
「うるさい」
私は逃げるように、先に歩き出した。咲季の笑い声が、後ろから追いかけてきた。
◇
その数日後。真白さんから『西園寺くんに連絡先、渡しておいたから』と連絡が来た。
その夜、宿題を終えてベッドに倒れ込んだところで、スマホが震えた。
画面を見ると、景斗さんからのメッセージだった。
『今度、俺の好きな場所に連れて行ってもいいですか?』
私は、その一文をしばらく見つめた。
文化祭のあと、控室の前の廊下で別れる直前、私は『今度会ったら……私の好きな場所に、お連れしてもいいですか』と言っていた。
景斗さんは少し驚いた顔をして、それから「もちろん」と言ってくれた。
今度は、景斗さんが同じことを言ってくれた。
なんだか嬉しくて、頬が自然とゆるんだ。
『はい、ぜひ』
送信して、スマホを胸の上に置いた。天井を見上げながら、私はそっと目を閉じた。



