「今度会ったら……私の好きな場所に、お連れしてもいいですか」
景斗さんは目を見開き、それから口角を上げた。
「もちろん」
ふわりと微笑むと、景斗さんは廊下の向こうへ歩いていく。その背中が見えなくなってから、私はようやく壁にもたれた。
膝から力が抜けそうだった。でも、今度は恐怖じゃなかった。
「……ふふ。聞いちゃった」
廊下の角から、咲季が顔を出した。
「……え。まさか、ずっとそこにいたの?」
「ううん、途中から」
咲季はへらっと笑って、私の隣に来た。
「どうだった?」
「……好きだって、伝えた」
「やったじゃん、陽葵!」
咲季が肩を叩いてきた。少し痛かったけど、嬉しかった。
◇
体育館のロビーに向かうと、人混みの中から声がした。
「結城さん!」
真白さんが駆けてきた。彼女の目が、うるんでいた。
「舞台、すごく良かったわ……! 私、感動しちゃった!」
「……見てくれたんですか?」
「当たり前でしょ! 結城さんの晴れ舞台なんだから!」
真白さんはそう言って、少し照れたように眉を下げてにっこりした。
「実はね、結城さんに背中を押してもらったから、私も勇気を出せたの」
「え?」



