ピッと封印!放課後のマジカル・プライスレス!

「このままじゃ、遅刻するよ!」

わたしは弱音を吐きつつも、全力で走っていく。

「今ごろ、(たいら)はもう、教室で席についてるんだろうな。あーあ、隣の家だったら、今すぐ飛んでいきたいのに!」

ふと視線を向けると、道端の木々や影に、不思議な影がうごめいているのが見えた。
モコモコした白い影。
目がたくさんある黒い影もいた。

「今日も、にぎやかだな」

わたしには、あやかしが見える。
他の人とは少し、見えている世界が違うんだ。
そのせいで、よくからかわれている。
あやかしがいる場所をくねくねと避けて歩いたら、『変なダンスしてるの?』って、クラスメイトに笑われちゃったこともあるんだ。
だって、しょうがないじゃない!
踏んづけたら、絶対に痛いと思うから!
だけどね。
意外と、悪いことばかりじゃないんだ。

『まひろ様、こっちこっちですの!』
「あっ、ナナちゃん!」

弾んだ声に振り向くと、友達のあやかし、ナナちゃんが近道を教えてくれた。
パチャパチャと歩いてくるナナちゃんは『アマビエ』という、人魚の妖怪。
災いを予言して、病気の流行をしずめる力を持っている予言獣。
幼い頃、家族で、海に遊びに行った時に出会ったんだ。
ちょっととんがったくちばし、キラキラしたうろこ。
パタパタと動く三本足がすっごくかわいい。
ナナちゃんのおかげで、この町の人たちは風邪などの病気の流行に、ほとんど悩まされていないんだよ!
去年の冬、近くの学校がインフルエンザで学級閉鎖になった時も、わたしの学校だけはみんな、元気だったんだよね!