理王くんの甘い罠

その後の授業は、全然何にも頭に入ってこなかった。


……どうして、私こんなになってるんだろう……。



帰り、駅のホームでぼーっと突っ立っている。ぼんやり夕日に照らされて。


結局先輩にも一度も会えなかったし……。



「……浅羽、先輩」

「……ぇ、あ、綾瀬くん?!」


まさか自分の名前が呼ばれるわけないと思ったのに振り返れば綾瀬くんがいた。


「ど、どうしたの……」

「……俺、なんかしちゃいましたか?」

「えっ、し、してないよ」


困ったように眉を垂らす彼は、わんちゃんみたいで少し可愛らしかった。