理王くんの甘い罠

入学したばっかの頃のこと。


(……最悪だ、迷った……)


不良っぽい生徒、理王。バチバチに金髪、だるだるの着こなしで廊下をうろうろする。


「ねえ」

「あ……?」


視線を上げると、そこには女の子がいた。


「一年生、だよね?もしかして迷っちゃった……?」

「……」

「ああ、ごめんごめんっ、私は2年生の浅羽咲です、よければ教室まで案内しようか……?」


チラチラと横目で咲を見る。弱そうなのに、俺にこんな距離でつるんでくるのか……と少し興味を持った。

だけどそれもかれも、自分の顔の良さのせいだとまたため息をつく。


「……お前、媚び売ってるの?」

「まさか!困ってるなら助けたいなって……」

「……あっそ」

「教室、そこの階段登ってすぐのところだと思うよ!じゃあ私は行くね」


手伝おうとするだけ無駄だと気がついたのか、咲はそれだけ言って去っていった。


なぜだか、その背中から目を離すことができなかった。


「うお!こんなところにいた、ほらいくぞ綾瀬」


あとから現れた友達。


「……なあ、あの女って」

「あの女?ああ、浅羽先輩?」


後ろ姿でわかるくらい、有名な人なのかなんて、


「三年の四条先輩のことずっと好きらしい」

「……は?」


なぜだかその言葉に、ひどく胸を締め付けられた。