「……っ、美絵、ちょっと待って!」
後ろから呼び止められる。
(追ってこないで。もう、期待させないでよ……)
そう思えば思うほど、悲しさが込み上げてきて、どんどん涙が滲んでくる。
人けのない裏庭まで逃げたけれど、運動神経のいい彼にはすぐに追いつかれてしまった。
肩を掴まれ、振り返る。
彼には見せたくない、ひどい顔をしている自覚があった。
私の涙を見た彼は、驚いて目を見開く。
「…………」
「…………」
サラサラと音を立てて風になびく黄色の葉たちとは対照的に、私たちの間には重たい空気が流れる。
「えっと……この前、変なことして、ごめん」
彼から出たのは、そんな曖昧な謝罪だった。
必死に謝る姿を見て、心が痛む。
何かの間違いだったのかな。
もしかして……『勘違いさせてごめん』ってこと?
私みたいに、胸が苦しくなるような嬉しい気持ちは、彼にはなかったのかな。
もし好きだったら、あんなことがあった後は、私と同じように浮かれたりするはずだよね……。
悪い考えばかりが頭を支配していく。
「ごめん……」
「謝らないでよ……」
好きだから、泣いているのに。
謝られると、私の抱えている恋心が否定されたみたいで、余計に涙が止まらなくなってしまった。
「本当にごめん……どうしたら止まる? 俺、なんでもするから……」
切羽詰まったような声。
涙を拭おうとしたのか、彼の人差し指がそっと頬に触れてきた。
一週間ずっと忘れられなかった――優しくて、あたたかい体温。
それに触れた瞬間、私の中にあった悲しさ、苦しさ、そして彼への想いが、限界を超えて決壊した。
もう、隠しきれない。
あれは気の迷いだったと、忘れてほしいと言われてもいい。
「……好き」
濡れた頬に彼の温度を感じながら、私はついに、溢れ出した自分の気持ちを声に出していた。
後ろから呼び止められる。
(追ってこないで。もう、期待させないでよ……)
そう思えば思うほど、悲しさが込み上げてきて、どんどん涙が滲んでくる。
人けのない裏庭まで逃げたけれど、運動神経のいい彼にはすぐに追いつかれてしまった。
肩を掴まれ、振り返る。
彼には見せたくない、ひどい顔をしている自覚があった。
私の涙を見た彼は、驚いて目を見開く。
「…………」
「…………」
サラサラと音を立てて風になびく黄色の葉たちとは対照的に、私たちの間には重たい空気が流れる。
「えっと……この前、変なことして、ごめん」
彼から出たのは、そんな曖昧な謝罪だった。
必死に謝る姿を見て、心が痛む。
何かの間違いだったのかな。
もしかして……『勘違いさせてごめん』ってこと?
私みたいに、胸が苦しくなるような嬉しい気持ちは、彼にはなかったのかな。
もし好きだったら、あんなことがあった後は、私と同じように浮かれたりするはずだよね……。
悪い考えばかりが頭を支配していく。
「ごめん……」
「謝らないでよ……」
好きだから、泣いているのに。
謝られると、私の抱えている恋心が否定されたみたいで、余計に涙が止まらなくなってしまった。
「本当にごめん……どうしたら止まる? 俺、なんでもするから……」
切羽詰まったような声。
涙を拭おうとしたのか、彼の人差し指がそっと頬に触れてきた。
一週間ずっと忘れられなかった――優しくて、あたたかい体温。
それに触れた瞬間、私の中にあった悲しさ、苦しさ、そして彼への想いが、限界を超えて決壊した。
もう、隠しきれない。
あれは気の迷いだったと、忘れてほしいと言われてもいい。
「……好き」
濡れた頬に彼の温度を感じながら、私はついに、溢れ出した自分の気持ちを声に出していた。



