「なに? コーチ。ほしいの?」
ぼーっとして彼の手元のグミを見つめてしまっていたようで、黄色の一粒を差し出された。
「……あー、サンキュ」
なんとなく断らずにそのまま受け取って、口に入れた。
色の通り、甘酸っぱいレモン味だった。
「美味いな」
「うん。これ好きで、いつも買っちゃうんだよねー」
お小遣いで買ってるから値下げしてほしい、などとぶつぶつ呟きながらも、彼の手は止まらない。
やがて、電車がホームに滑り込んできた。
僕が見送る予定の、急行列車だった。
「コーチ、乗らないの?」
「俺、各駅だから」
「ふーん。じゃあバイバイ」
彼はピョンッと軽い足取りで車両に乗り込み、ドアが閉まる直前、「あ、そうだ」と振り返った。
「コーチ、先生にでもなれば? 教え方うまいって、みんな言ってるよ」
「……えっ」
「じゃ。デート行ってきまーす」
プシュー、とドアが閉まる。
「…………」
なかなか嬉しい言葉を残して、彼は去っていってしまった。
ホームに一人佇む僕の足元には、いつの間にか秋の柔らかな陽だまりが落ちていた。
ぼーっとして彼の手元のグミを見つめてしまっていたようで、黄色の一粒を差し出された。
「……あー、サンキュ」
なんとなく断らずにそのまま受け取って、口に入れた。
色の通り、甘酸っぱいレモン味だった。
「美味いな」
「うん。これ好きで、いつも買っちゃうんだよねー」
お小遣いで買ってるから値下げしてほしい、などとぶつぶつ呟きながらも、彼の手は止まらない。
やがて、電車がホームに滑り込んできた。
僕が見送る予定の、急行列車だった。
「コーチ、乗らないの?」
「俺、各駅だから」
「ふーん。じゃあバイバイ」
彼はピョンッと軽い足取りで車両に乗り込み、ドアが閉まる直前、「あ、そうだ」と振り返った。
「コーチ、先生にでもなれば? 教え方うまいって、みんな言ってるよ」
「……えっ」
「じゃ。デート行ってきまーす」
プシュー、とドアが閉まる。
「…………」
なかなか嬉しい言葉を残して、彼は去っていってしまった。
ホームに一人佇む僕の足元には、いつの間にか秋の柔らかな陽だまりが落ちていた。



