◇
部長として各テーブルを回り忙しそうにしていた正人くんが、ようやく私たちのところにやってきた。
「よー! 楽しんでるかー!」
「まさとん、おつ〜」
いずみが労いの言葉をかけた。
新入生同士で盛り上がり始めたのを見計らって、私たちは三人で話し始めた。
「昨日も面接でさあー。たぶん落ちたわ」
いつもの調子でカラッとそう言って、手元のジョッキを大きく傾ける正人くん。
正人くんと私は現在、絶賛就活中だ。
私は色々な選択肢を考えた結果、地元には帰らず、東京で働くことを決めている。
いずみは卒業を遅らせて、まもなく海外へ留学する予定になっていた。
「やっぱり寂しい……」
私がポツリと呟くと、いずみも「美絵〜」と瞳を潤ませる。
「遊びにきてね! 絶対っ」
「うん、絶対行く!」
私たちは、改めてそう強く約束を交わした。
枝豆を口の中にポイッと投げながら、正人くんが思い出したように尋ねてきた。
「そういや、祥太郎は今福島だっけ?」
「うん。教育実習、ゴールデンウィーク明けから始まるからね」
祥ちゃんは体育の先生になるため、大事な教育実習を控えている。
実習の場所は――私たちが出会った、あの中学校。
そのため、事前に福島に戻り、手続きなどを進めているのだ。
「あいつ、教師を地元か東京どっちでやるかは、まだ決めてないんだよな?」
「……うん」
正人くんの問いに、私は少しだけ声を落として頷いた。
夏までには結論を出さなければいけないのだけど、彼はまだ決断していない。
「私のことは気にしないで、祥ちゃんがやりたい方にしてね」と伝えてはある。
でも……正直なところ、彼の決断を聞くのは少しこわい。
もし東京と福島、になったら。
決して会えない距離ではないけれど、教師という大変な仕事に就く祥ちゃんとは、定期的に会えるかどうかわからないからだ。
「美絵も帰るんだよね? ゴールデンウィーク」
少し沈んでしまった私の気持ちを晴らすように、いずみが明るい笑顔で問いかけてきた。
「うん。祥ちゃんと、中学校で会うんだ」
「なんで学校?」
正人くんに聞かれ、枝豆を手に取りながら答える。
「卒業生は休日なら自由に入れるらしくて、一緒に行かない? って」
「……ふーん? なんか意味深だなー」
正人くんはイシシと意地悪そうに笑いながら、いずみと含みのある視線を交わしていた。
部長として各テーブルを回り忙しそうにしていた正人くんが、ようやく私たちのところにやってきた。
「よー! 楽しんでるかー!」
「まさとん、おつ〜」
いずみが労いの言葉をかけた。
新入生同士で盛り上がり始めたのを見計らって、私たちは三人で話し始めた。
「昨日も面接でさあー。たぶん落ちたわ」
いつもの調子でカラッとそう言って、手元のジョッキを大きく傾ける正人くん。
正人くんと私は現在、絶賛就活中だ。
私は色々な選択肢を考えた結果、地元には帰らず、東京で働くことを決めている。
いずみは卒業を遅らせて、まもなく海外へ留学する予定になっていた。
「やっぱり寂しい……」
私がポツリと呟くと、いずみも「美絵〜」と瞳を潤ませる。
「遊びにきてね! 絶対っ」
「うん、絶対行く!」
私たちは、改めてそう強く約束を交わした。
枝豆を口の中にポイッと投げながら、正人くんが思い出したように尋ねてきた。
「そういや、祥太郎は今福島だっけ?」
「うん。教育実習、ゴールデンウィーク明けから始まるからね」
祥ちゃんは体育の先生になるため、大事な教育実習を控えている。
実習の場所は――私たちが出会った、あの中学校。
そのため、事前に福島に戻り、手続きなどを進めているのだ。
「あいつ、教師を地元か東京どっちでやるかは、まだ決めてないんだよな?」
「……うん」
正人くんの問いに、私は少しだけ声を落として頷いた。
夏までには結論を出さなければいけないのだけど、彼はまだ決断していない。
「私のことは気にしないで、祥ちゃんがやりたい方にしてね」と伝えてはある。
でも……正直なところ、彼の決断を聞くのは少しこわい。
もし東京と福島、になったら。
決して会えない距離ではないけれど、教師という大変な仕事に就く祥ちゃんとは、定期的に会えるかどうかわからないからだ。
「美絵も帰るんだよね? ゴールデンウィーク」
少し沈んでしまった私の気持ちを晴らすように、いずみが明るい笑顔で問いかけてきた。
「うん。祥ちゃんと、中学校で会うんだ」
「なんで学校?」
正人くんに聞かれ、枝豆を手に取りながら答える。
「卒業生は休日なら自由に入れるらしくて、一緒に行かない? って」
「……ふーん? なんか意味深だなー」
正人くんはイシシと意地悪そうに笑いながら、いずみと含みのある視線を交わしていた。



