ふたつの弧が、重なるとき ~六年越しの初恋が熱を持った。不器用に重なり合うふたりの想いが、やがてひとつの場所へとたどり着くまでの甘い軌跡~【完結】

「はー、よかった……振られるかと思った……」

 彼が全身で息を吐きながら、安堵の声を出す。 

「……振るわけない!」

 祥ちゃんの背中に腕を回しながら、私は胸を痛めた。
 いずみが言っていた通り、私が彼をそんなふうに誤解させて、不安にさせてしまっていたのだ。

「変な言い方しちゃって、ごめんね……」

 私が謝ると、祥ちゃんは抱きしめたまま、頭上からすごく不満げな声を落とした。

「……なぜか元彼と一緒にいたしさ」

「あ……やっぱり祥ちゃん……あれが元彼って気づいたの?」

 身体を離して顔を見上げると、祥ちゃんは少し視線を外した。

「……なんとなく、そうかなって」

 私は慌てて、修平くんとは千尋さんのOB訪問の件で急遽顔を合わせることになった経緯をすべて説明した。

 祥ちゃんは、「そういうことだったんだ」と少し驚きながらも。

「……ふーん。でも、会ったことには変わりないしな」

 再び目を逸らしながら、拗ねた子供のようにそう言った。

 ……どうしよう。
 申し訳ない気持ちでいっぱいなのに、そんな祥ちゃんがどうしようもなく可愛くて、戸惑ってしまう。

 私は思わず立ち上がって、もう一度彼に力いっぱい抱きつきながら言った。

「大好き……」

 すると、数秒間黙っていた祥ちゃんが、そっと呟いた。

「……キスしていい?」

「…………ええっ!?」

 驚いて顔を上げる。

(そういえば、何度もハグしてしまったけれど、さっき公園の隅にいた小学生たちに見られてた……!?)

 焦って振り返ると、彼らはいつの間にかいなくなっており、公園には私たち二人きりだった。

 それでも、誰かに見られるんじゃ……とキョロキョロと周囲を見渡したが、一応誰もいないようだ。

「……うん」

 私が小さくOKすると、祥ちゃんは少しだけ屈み、私の唇に軽く触れるだけの優しいキスをくれた。

 そしてまた私を、強く、愛おしそうに抱きしめた。
 久しぶりのキスに、頬が熱くなっていくのがわかる。

「……これだけで済ませた俺を、褒めて」

 耳元で、低く甘い声で囁かれ、顔全体が一気にカーッと熱を帯びた。

 ゆっくりと顔を見合わせて、二人で照れくさそうに笑う。

 遠回りをして、たくさん傷ついて、泣いたけれど。
 思い出の小さな公園で、私は今、この上ない幸せを感じていた。