ふたつの弧が、重なるとき ~六年越しの初恋が熱を持った。不器用に重なり合うふたりの想いが、やがてひとつの場所へとたどり着くまでの甘い軌跡~【完結】

「だから……早く大人になりたくて。大学もバイトも、将来のことも頑張ろうって思う。でも、そちらに気持ちがいきすぎて、美絵に寂しい思いや辛い思いをさせてるんじゃないかって不安にもなる。俺にとっては、そうなってしまったら本末転倒なんだ。だから……美絵の気持ちは、小さいことでもいいから、知りたい」

 祥ちゃんは真剣な眼差しでそう言うと、やっぱり気恥ずかしそうに息を吐いた。

「先に話しちゃってごめん。今、俺から伝えられるのはこのくらいかな。……美絵の話も、聞きたい」

 彼の優しさに触れ、私は膝の上でぎゅっと手を握りしめた。

「私は……」

 一度、呼吸を整え、話し出す。

「私は……祥ちゃんに呆れられたくなくて。私は祥ちゃんと違って、将来やりたいこともまだ見つけていないし、この先見つかる自信もあまりない。自分に胸を張れなくて……」

 声が少し震える。

「……だから、カッコいい祥ちゃんと対等に接している女性が羨ましくて、必要以上に嫉妬しちゃったりして。私のやきもちは、祥ちゃんは何も悪くないの。自分の将来への焦りや劣等感も混ざってて……」

 言いながら、目頭が熱くなり、涙が溜まってくるのがわかる。

(泣くな)
 自分にそう言い聞かせて、ぐっと堪える。

 そして、長く棘のように引っかかっていたことを、勇気を出して尋ねた。

「……祥ちゃんが好きになってくれた頃の私は、部活を楽しんでて、目標に向かって一生懸命頑張ってて、笑ってて……キラキラしてたと思う。今の私はそれと違って……幻滅しない?」