ふたつの弧が、重なるとき ~六年越しの初恋が熱を持った。不器用に重なり合うふたりの想いが、やがてひとつの場所へとたどり着くまでの甘い軌跡~【完結】

(別れ話ではない、ってことか……)

 正人の言った通りだった。
 声色一つでわかった。
 美絵は僕を拒絶しようとなんてしていなかったんだ。
 やっぱり、あの日逃げずに、すぐに話をするべきだった。
 勝手に決めつけて、また辛い思いをさせてしまったかもしれない。

 そう気づき、胸が締め付けられるように苦しくなった。

『私、東京に帰るの明後日の朝で、その後すぐバイトだから……次に会えるのは、明後日の夜遅くになっちゃうかも……。祥ちゃんの予定はどうかな?』

 申し訳なさそうに尋ねられる。

 僕は明日も明後日も、終日バイトが入ってしまっていた。
 それに何より、美絵の声を聞いた今、明後日の夜までなんて待てなかった。
 すぐに会って、顔を見て話したかった。

 少し考えたあと、口を開いた。

「……福島で、会える?」

『えっ!?』

 電話の向こうで、息を呑んで驚く気配がする。

「今日は予定ないから、日帰りなら行けるかも。ゴールデンウィークだから、新幹線の席が取れたらだけど……」

 そう言うと、少しの沈黙のあと、涙ぐんでいるような返事が返ってきた。

『……うん、会えるよ。……会いたい』

「……じゃあ、待ってて」

 それだけ言って、すぐに電話を切った。

 急いで新幹線の予約サイトを開き、チケットを調べる。
 奇跡的に、一時間後の便に数席だけ空きがあった。

 はやる気持ちで座席を確保し、床に置いていたリュックに必要最低限の荷物だけをつめて、弾かれるように家を出た。