ふたつの弧が、重なるとき ~六年越しの初恋が熱を持った。不器用に重なり合うふたりの想いが、やがてひとつの場所へとたどり着くまでの甘い軌跡~【完結】

「……六年越しの文句?」

『……お前、俺と付き合ってるとき、一度も自分から連絡してこなかったよ。自分の気持ちも、最後まで言わなかったし』

 はっきりとは覚えていないけれど、中学生で付き合い方がわからなかったとはいえ、酷いな私……と反省する。

 私なりに好きな気持ちは、多少なりともあったとは思うけれど。
 それは今更、言わないでおこう。

「……話せてよかったです。色々なご助言、ありがとうございます」

 素直にお礼を伝えると、修平くんは少しトーンを落として言った。

『おー。じゃあ、もう連絡すんなよ』

「? はい」

 平然と返事をしたら、『即答すぎて失礼だろ』とまた笑われた。

『……じゃあな』

「……はい。ありがとうございました」

 通話を切り、スマホをベッドに置く。

 修平くんに対して未練があったわけではないけれど、心のどこかにあった長年のモヤモヤのようなものが、綺麗に晴れた気がした。

『自己完結しないでちゃんと聞け。言ってもらえなかったら、言ってもらえるような努力しろ』

 その一言が、ストンと胸に落ちる。

 さっきまで、「祥ちゃんに嫌われたかもしれない」と地獄みたいな気分で殻に閉じこもっていた。
 「幻滅されるかも」「嫌われるかも」と、半ば彼の気持ちを決めつけて怖がっていた自分に、改めて気づかされた。
 今は不思議と、自分が傷つくかどうかではなく、「他の誰でもない、祥ちゃんの気持ちを聞きたいんだ」と前向きになれた。

 お腹の虫が、小さく鳴った。
 私は立ち上がり、ごはんを食べて、お風呂に入った。

 その夜は久しぶりに、ゆっくりと深い眠りにつくことができた。