ふたつの弧が、重なるとき ~六年越しの初恋が熱を持った。不器用に重なり合うふたりの想いが、やがてひとつの場所へとたどり着くまでの甘い軌跡~【完結】

 今日もなんとか作り笑いを保ってバイトの時間を乗り越えた私は、やっとの思いで家に着いた。

 もうすぐ夕飯どきだし、接客でそれなりにエネルギーを使ったはずなのに、まったくお腹が減らない。
 手だけ洗って、すぐにベッドに腰を下ろした。

「…………」

 静まり返った部屋の空気が、息苦しい。
 気を紛らわすように、無意味にテレビをつける。

 スマホの画面を確認しても、祥ちゃんからの連絡は相変わらずなかった。

 代わりに、千尋さんからのメッセージが届いていた。

『越智さんとのOB訪問、すごく有意義だったよ! 教えてもらったことを活かして、〇〇商事の内定もらえるように頑張る。美絵、本当にありがとう!』

 千尋さんの役に立てたことは、純粋に嬉しい。

『いつもお世話になってばかりなので、お礼です。就活応援してます!』

 返信をしたあと、最低限の礼儀として修平くんにもメッセージを入れておくべきだろうか、と思い立った。

『千尋さんのOB訪問、ご対応ありがとうございました』

 そう送ると、すぐに返信が来た。

『そういや、彼氏大丈夫だったの?』

(大丈夫じゃないけど……)

 そう思いながらも、波風を立てたくなくて『はい。気にしないでください』と返した。

 その直後、スマホが震えた。
 メッセージの返信かと思いきや、画面には着信の表示。