ふたつの弧が、重なるとき ~六年越しの初恋が熱を持った。不器用に重なり合うふたりの想いが、やがてひとつの場所へとたどり着くまでの甘い軌跡~【完結】

(……! 久しぶりに、会えた……)

 その姿に心が歓喜し、今すぐ駆け寄りたい衝動が全身に湧き上がる。

 しかし、次の瞬間――ハッと我に返った。

 私は今、自分の気持ちを整理させてもらうために「考えたい」などと言って、彼とは距離を置いている状態だ。
 そんな中で、本来ならここにいるはずもない修平くんと一緒にいる。

 この修平くんを「元彼」だと認識するかはわからないけど……。
 でも祥ちゃんは、中学生のとき、私たちが一緒にいるところを一度だけ見たことがあると言っていた。
 その記憶と、目の前の光景が繋がってしまったら……。

 立ち尽くす彼の顔を見ると……その懸念が当たっているような気がしてしまう。

 祥ちゃんには、千尋さんのOB訪問のために修平くんと連絡をとったことも、今日ちょっとしたトラブルで急遽顔を合わせることになった経緯も、何ひとつ伝えられていない。
 祥ちゃんからしたら、私が裏で元彼と会っていたように見えてしまう。
 そんなの、不信感を抱かせてしまうに決まっている。

 全身から血の気が引き、冷や汗が滲む。

 真っ青になった私を見て、修平くんが怪訝そうにその視線をたどった。

「……何。知り合い?」

「……あ、彼氏で……」

 パニックになりながら、掠れた声で答える。

「あー」

 修平くんがそう言ったところで、祥ちゃんはスッと背中を向け、私たちのいる場所と反対方向へ歩き出してしまった。

「……っ、祥ちゃん……!」

 思わず呼び止める。
 けれど、一度も振り向かずに行ってしまった。

 取り返しのつかない過ちを犯してしまったかもしれない。
 そう思うと足の震えが止まらず、その場に立ちすくむことしかできなかった。

「……あんまり良くない状況? 何もないって説明しよっか?」

 修平くんが少し面倒くさそうに提案してくれたが、私は力なく首を振った。

「……いえ、大丈夫です……」

「あ、そ?」

 修平くんは苦笑いして、それ以上触れなかった。

 元はと言えば、私が悪いのだ。
 勝手に不安になって、距離を置かせてもらって……千尋さんの件も、今日のことも、何もかも話さずにいたから。

 全部、身から出た錆だ……。

 目の前が真っ暗になり、心が沈み込んで戻ってこられなかった。