ふたつの弧が、重なるとき ~六年越しの初恋が熱を持った。不器用に重なり合うふたりの想いが、やがてひとつの場所へとたどり着くまでの甘い軌跡~【完結】

 ◇

 門に近づくと、スーツ姿で立つ長身が見えた。
 キャンパスを出入りする学生たちからチラチラと視線を向けられ、やや面倒くさそうに眉を寄せている。

「……あの」

 声をかけると、私を見て少しだけ目を見開く。

 ネイビーのスーツに、少し光沢のあるグレーのネクタイ。
 それをスラッと着こなす彼は、すっかり社会で働く大人の男性になっていて、初めて会う人のように感じられた。

「……おー。久しぶり」

 けれど、どこか冷めているその瞳は、間違いなく当時のままだ。

 少しだけ圧倒されそうになる気持ちを立て直し、千尋さんがスマホを忘れてしまっていた状況と、こちらに向かっていて、すぐに着くことを伝えた。

「お手数かけてすみません。あと今回のこと、引き受けてくれてありがとうございます」

 小さく頭を下げ、改めてお礼を伝える。
 けれど彼はそれには応えず、私を上から下まで一瞥した。

「……ガキんちょだったけど、大きくなったんだな」

 フッと鼻で笑うように言われ、子供扱いされたようでムッとする。

「修平くんは……すっかりオジさんになりましたね」

 少し棘を込めて返すと、「はあ?」と不機嫌そうな声が返ってきた。

 その時だった。

 ふと視線を向けた、数メートル先。
 こちらを見てピタリと足を止めている、見慣れた姿に気づいた。


 それは――私の大好きな、祥ちゃんだった。