◇
一限の講義を終えて教室を出た時、鞄の中でスマホが震えた。
(…………!)
取り出して画面を見ると、思いがけない人の名前が表示されていて、思わず息を呑む。
戸惑いながらしばらく見つめ、通話ボタンをタップして耳に当てた。
「……はい」
『……あー、もしもし?』
電話の向こうから聞こえてきたのは、少し気怠そうな低い声。
この声を聞くのは五年ぶりだ。
そもそも、彼と電話で話すのなんて、これが初めてかもしれない。
声の主は――修平くんだった。
『崎本さんと連絡とれたりする?』
崎本というのは、千尋さんの苗字だ。
「えっ? 連絡先はもちろんわかりますけど……どうかしましたか?」
『例のOB訪問。今日そっちの大学の近くのカフェで会う約束してたんだけど、仕事の都合で時間前倒しさせてもらいたくて。でも、朝から連絡通じないんだよな』
(千尋さん、どうしたんだろう)
「……わかりました。私からも連絡してみます」
そう伝えて電話を切り、すぐに千尋さんに発信してみたが、電源が入っていないようで繋がらなかった。
再び修平くんに電話をかけ、その旨を伝える。
『……わかった。とりあえず大学行くわ。門で待っててくれない?』
「え!?」
驚く暇もなく、電話は一方的に切られてしまった。
(え……どうしよう)
困惑しながらも、言われた通り、急ぎ足で正門へと向かう。
ちょうどそのタイミングで、千尋さんと仲の良いサークルの先輩から私のスマホに着信があった。
『美絵ちゃん!? 今、千尋と学校の最寄り駅で会ったんだけど。今日、美絵ちゃんの紹介してくれた先輩とOB訪問の約束してるのに、家にスマホ忘れちゃったってテンパってて。先輩の電話番号教えてもらってもいい?』
事情がわかり、まずはホッとした。
電話口に千尋さんが代わり、修平くんから時間変更の連絡があったこと、今から彼が大学の門に来るため私が待っていることを伝えた。
『よかった……本当にごめん!! すぐ向かうから!!』
涙声で焦っている千尋さんをなだめ、ひとまず正門へと急いだ。
一限の講義を終えて教室を出た時、鞄の中でスマホが震えた。
(…………!)
取り出して画面を見ると、思いがけない人の名前が表示されていて、思わず息を呑む。
戸惑いながらしばらく見つめ、通話ボタンをタップして耳に当てた。
「……はい」
『……あー、もしもし?』
電話の向こうから聞こえてきたのは、少し気怠そうな低い声。
この声を聞くのは五年ぶりだ。
そもそも、彼と電話で話すのなんて、これが初めてかもしれない。
声の主は――修平くんだった。
『崎本さんと連絡とれたりする?』
崎本というのは、千尋さんの苗字だ。
「えっ? 連絡先はもちろんわかりますけど……どうかしましたか?」
『例のOB訪問。今日そっちの大学の近くのカフェで会う約束してたんだけど、仕事の都合で時間前倒しさせてもらいたくて。でも、朝から連絡通じないんだよな』
(千尋さん、どうしたんだろう)
「……わかりました。私からも連絡してみます」
そう伝えて電話を切り、すぐに千尋さんに発信してみたが、電源が入っていないようで繋がらなかった。
再び修平くんに電話をかけ、その旨を伝える。
『……わかった。とりあえず大学行くわ。門で待っててくれない?』
「え!?」
驚く暇もなく、電話は一方的に切られてしまった。
(え……どうしよう)
困惑しながらも、言われた通り、急ぎ足で正門へと向かう。
ちょうどそのタイミングで、千尋さんと仲の良いサークルの先輩から私のスマホに着信があった。
『美絵ちゃん!? 今、千尋と学校の最寄り駅で会ったんだけど。今日、美絵ちゃんの紹介してくれた先輩とOB訪問の約束してるのに、家にスマホ忘れちゃったってテンパってて。先輩の電話番号教えてもらってもいい?』
事情がわかり、まずはホッとした。
電話口に千尋さんが代わり、修平くんから時間変更の連絡があったこと、今から彼が大学の門に来るため私が待っていることを伝えた。
『よかった……本当にごめん!! すぐ向かうから!!』
涙声で焦っている千尋さんをなだめ、ひとまず正門へと急いだ。



