ふたつの弧が、重なるとき ~六年越しの初恋が熱を持った。不器用に重なり合うふたりの想いが、やがてひとつの場所へとたどり着くまでの甘い軌跡~【完結】

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 一限の講義を終えて教室を出た時、鞄の中でスマホが震えた。

(…………!)

 取り出して画面を見ると、思いがけない人の名前が表示されていて、思わず息を呑む。
 戸惑いながらしばらく見つめ、通話ボタンをタップして耳に当てた。

「……はい」

『……あー、もしもし?』

 電話の向こうから聞こえてきたのは、少し気怠そうな低い声。

 この声を聞くのは五年ぶりだ。
 そもそも、彼と電話で話すのなんて、これが初めてかもしれない。

 声の主は――修平くんだった。

崎本(さきもと)さんと連絡とれたりする?』

 崎本というのは、千尋さんの苗字だ。

「えっ? 連絡先はもちろんわかりますけど……どうかしましたか?」

『例のOB訪問。今日そっちの大学の近くのカフェで会う約束してたんだけど、仕事の都合で時間前倒しさせてもらいたくて。でも、朝から連絡通じないんだよな』

(千尋さん、どうしたんだろう)

「……わかりました。私からも連絡してみます」

 そう伝えて電話を切り、すぐに千尋さんに発信してみたが、電源が入っていないようで繋がらなかった。
 再び修平くんに電話をかけ、その旨を伝える。

『……わかった。とりあえず大学行くわ。門で待っててくれない?』

「え!?」

 驚く暇もなく、電話は一方的に切られてしまった。

(え……どうしよう)

 困惑しながらも、言われた通り、急ぎ足で正門へと向かう。

 ちょうどそのタイミングで、千尋さんと仲の良いサークルの先輩から私のスマホに着信があった。

『美絵ちゃん!? 今、千尋と学校の最寄り駅で会ったんだけど。今日、美絵ちゃんの紹介してくれた先輩とOB訪問の約束してるのに、家にスマホ忘れちゃったってテンパってて。先輩の電話番号教えてもらってもいい?』

 事情がわかり、まずはホッとした。
 電話口に千尋さんが代わり、修平くんから時間変更の連絡があったこと、今から彼が大学の門に来るため私が待っていることを伝えた。

『よかった……本当にごめん!! すぐ向かうから!!』

 涙声で焦っている千尋さんをなだめ、ひとまず正門へと急いだ。