ふたつの弧が、重なるとき ~六年越しの初恋が熱を持った。不器用に重なり合うふたりの想いが、やがてひとつの約束へとたどり着くまでの甘い軌跡。~

 ◇

 帰り道。
 今日はお酒は飲んでいないけれど、賑やかな雰囲気で熱った頬が、夜風に少しずつ冷まされていく。

 自宅の最寄り駅からマンションまでの夜道を歩きながら、私はずっとスマホを両手で強く握りしめていた。

 頭の中は、相変わらず祥ちゃんのことでぐるぐると満ちていた。

 本音を言えば、今すぐにでも彼に会いたい。
 でも、今日は本当に夜遅くまでバイトが入っていたのかもしれないし、明日の朝が早いのかもしれない。
 突然家に行って、また彼を困らせたり、気を遣わせたりするのは避けたい。
 だから、家に行くのは一旦やめておこう……と、はやる気持ちを抑えた。

 せめてメッセージを送ろうか。
 いや……テキストだけでは、また誤解を生んでしまう気がする。
 上手く喋れなくてもいいから、まずは電話してみよう。
 だって……祥ちゃんの声が聞きたい。

 自分のぐちゃぐちゃな気持ちを、きちんと言葉にして伝えることは、まだできないと思う。
 けれど、「別れたいわけでは決してない」ということだけは、絶対に伝えておきたい。

 そう決心して画面を開くものの、第一声をどうやって切り出せばいいか迷ってしまい、発信ボタンを押せないまま足を進めていた。
 気づけば、もうまもなく自分のマンションに着いてしまいそうだ。

(勇気、出さなきゃ……!)

 そう息を吸い込んだ瞬間、手元のスマホがブルルッと震え、突然着信音が鳴り響いた。

「えっ……!」

 ビクッとして、バッと画面を見る。